オウンドメディアとは?〜デジタルマーケティングで見込み顧客との接点を提供するWebサイト〜

オウンドメディアとは?〜デジタルマーケティングで見込み顧客との接点を提供するWebサイト〜

本ページでは、オウンドメディアの基礎知識とデジタルマーケティングでの活用例、オウンドメディアの立ち上げ時に検討すべき10つのステップについて解説します。

目次

オウンドメディアとは?

「オウンドメディア(Owned media)」とは、自社が所有するメディアです。BtoBデジタルマーケティングでは企業のWebサイトや特設サイト、ブログといったコンテンツを指します。

従来の企業サイトは、会社紹介やサービス紹介に重点を置く「コーポレートサイト」として運用されていました。「A社が提供するマーケティングツールについて知りたい」「来週商談を行うB社について知りたい」といったように、サービス・商材についての具体的なニーズに応えることが主な役割です。

それに対して「オウンドメディア」は、サービス・商材視点ではなく、課題解決視点でユーザーに対する情報発信を行っていくサイトです。「○○(課題)を解決する方法を知りたい」「○○(用語)の意味やメリットを知りたい」といったように、ユーザーが購買プロセスの前半で必要とする情報を中心に取り上げます。ユーザーにとって役立つ情報を発信することで自社が認知され、結果的に自社商材や関連サービスを知ってもらうことが主な役割です。

「オウンドメディア」と「コーポレートサイト」は異なるドメインで明確に運用を分けるケースと、同一ドメイン内で情報を集約して運用するケースの両方が存在します。

デジタルマーケティングにおけるオウンドメディアの重要性

デジタルマーケティングにおいて、オウンドメディアはユーザーへの情報発信手段として非常に重要な位置づけに存在します。集客したリード(見込み顧客)の受け皿としてオウンドメディアに誘導し、サイト上でのコンテンツ提供を通してリードに対する啓蒙活動を行い、購買意欲を高めていくことが可能です。

また、デジタルマーケティングの集客手段である「Web広告」は即時性に優れますが、集客のための広告費用が発生し続けます。オウンドメディアは効果を発揮するまでに一定の期間を要しますが、SEO対策と合わせて運用を継続することで優良コンテンツがサイト内に貯まっていき、検索エンジンからの自然検索による流入を見込める集客資産になります。その後更新ペースを落としたとしても集客効果が見込めるため、継続的な集客手段として活用していくことができます。

デジタルマーケティングでの見込み顧客獲得に不可欠な「集客」「情報発信」を行うための主要施策として、多くの企業がオウンドメディアへの取り組みや投資を強化しています。

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他メディアの違い

オウンドメディアに関連するメディアとして「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」「シェアードメディア(Shared Media)」の3つが存在します。オウンドメディアを加えたこれら4つのメディアは、各メディアの頭文字(Paid, Earned, Shared, Owned)から「PESOモデル」という考え方で位置づけされています。

デジタルマーケティングのメディア活用では、ユーザーの集まる「ペイドメディア」「アーンドメディア」から「オウンドメディア」へと誘導し、ユーザーに対してコンテンツを訴求していきます。そして、そのコンテンツを「シェアードメディア」で拡散することで、さらなる集客を見込んでいく集客サイクルを構築を目指していくことが重要になります。

それぞれのメディアは以下の役割に分かれています。

メディア概要
ペイドメディア情報掲載の広告費を「支払う」メディア会員制サイトや記事広告など
アーンドメディア第三者から評判を「獲得」するメディア広報サイトやニュースサイトなど
シェアードメディアユーザーから情報が「共有」されるメディアSNSやレビューサイトなど
オウンドメディア自社がコンテンツを「所有」するメディア特設サイトやブログなど
PESOモデルを構成する4つのメディア

オウンドメディアの具体例 (認知〜購買)

オウンドメディアの活用イメージをご紹介します。ここでは、デジタルマーケティングに課題を持つ「ユーザー企業」と、それを解決できるサービスを提供している「メーカー企業」を一例として解説します。

登場人物概要
ユーザー企業クラウドサービスの販売を行う企業。
「見込み顧客を増やしたい」の課題解決に向けて、担当者が情報収集を行っている。
マーケティング実践Navi
(オウンドメディア)
マーケティング情報の発信を行うWebサイト。
毎週1本のマーケティング関連記事が定期的に追加されている。
メーカー企業「MAバディ」というマーケティング自動化ツールを提供する企業。
オウンドメデイア「マーケティング実践Navi」を運用している。

オウンドメディアへのリードの「集客」

「見込み顧客を増やしたい」という課題があるユーザーは情報収集のため、検索エンジンで「見込み顧客 増やし方」と検索します。検索結果の上位5までの記事を流し読みしたところ、3番目に表示されていた「デジタルマーケティングによる見込み顧客の増やし方とは?(マーケティング実践Navi)」のWebサイトの内容に興味を持ち、詳しく読み込むことにしました。

リード情報の「実名化」

「デジタルマーケティングによる見込み顧客の増やし方とは?(マーケティング実践Navi)」の記事下部には関連記事がいくつか紹介されており、その中には「デジタルマーケティング入門ガイド」のPDF資料が紹介されていました。「マーケティング実践Navi」が発信する情報は役に立つと判断し、ユーザーは企業名やメールアドレスを入力して資料をダウンロードしました。

このように、オウンドメディアに集客したリードが何かしらの申込みフォームを経由すると連絡先情報を獲得でき、オウンドメディア側からリードに対してアプローチを行うことが可能になります。

実名リードへの「啓蒙活動」

数日後、デジタルマーケティング施策について幅広く情報収集を続けるユーザーに「マーケティング実践Navi」からメールが届きました。内容はサイト上で新たに公開された「見込み顧客を増やす!MAツール入門」記事のお知らせでした。メール内のURLをクリックして記事を閲覧したところ、「MAツールであれば自社の課題を解決できるのでは?」と気づきを得て、MAツールに関する情報収集を行うことにしました。

比較検討の進行

ユーザーは情報収集の結果、見込み顧客を増やすための手段としてMAツールの導入を前向きに検討することになり、より具体的な調査を行うことになった担当者は検索エンジンで「MAツール 比較」と検索しました。検索結果の上位5番目までに表示されWebサイトを読み込み、代表的な各MAツールの特徴について知りました。その過程で「国内メーカーが提供する7つのMAツール徹底比較(マーケティング実践Navi)」の記事内で紹介されていた「MAバディ」というMAツールがあることを知りました。

ホットリードの「顕在化」

サイトを閲覧してすぐに「マーケティング実践Navi」からメールが届きました。内容は「マーケティングツール[MAバディ]の無料トライアルキャンペーン」のお知らせでした。ちょうどMAツールの情報を集めており、「マーケティング実践Navi」はかねてから情報収集に活用していたサイトで、その運用企業が提供するMAツールに興味を持っていました。

自社の課題を解決できるツールかどうかを試すために申し込みボタンをクリックしたところ、メーカー企業の営業担当から連絡があり、トライアルの進め方について打ち合わせを行うことになりました。


簡略化された例ですが、オウンドメディアを通じた見込み顧客の獲得はこのような流れで行われます。この例では、オウンドメディア上のコンテンツに対してSEO対策を行い、Web集客を行っています。また、オウンドメディア上の行動にあわせてMAツールで自動的にコンテンツを配信し、「無料トライアルの申し込み」というアクションに誘導するデジタルマーケティングが展開されています。

【主要機能10選】マーケティングオートメーションツール(MAツール)とは?BtoBにおける検討ポイント

オウンドメディア立ち上げに向けた10つの手順

実際にオウンドメディアを立ち上げる際は、以下の10ステップで立ち上げを行います。

オウンドメディアの立ち上げ手順
  1. 目的・目標の設定
  2. コンセプトの設定
  3. 体制検討
  4. 集客キーワードの検討(SEO対策)
  5. コンテンツの検討
  6. オウンドメディアの構築
  7. アクセス解析ツールの導入
  8. MAツールの導入
  9. 記事作成
  10. コンテンツの周知・拡散

1.目的・目標の設定

オウンドメディアによる売上の拡大を図るために、「新規商談数の増加」や「既存顧客の解約率の低下」、「ブランディングの強化」など、オウンドメディアによって得たい成果やゴールを設定します。

2.コンセプトの設定

どのような情報をどのようなユーザーに提供するサイトにするか、オウンドメディアの根幹部分を設定します。専門性が高いサイトのほうが密度の高い情報を発信できるため、テーマや対象を広げすぎないことが重要です。

3.体制検討

オウンドメディアを運営するにあたり、社内/社外で必要になる体制を整理します。最低でも以下4つの役割が必要になります。

担当役割
ディレクターオウンドメディア全体を指揮する
ライターオウンドメデイアで公開するコンテンツを作成する
クリエイターサイト内で使う画像やバナーを制作する
Web担当WebサーバやCMSの設定を行う
オウンドメディア運営に必要な体制

4.集客キーワードの検討(SEO対策)

オウンドメディアにユーザーを呼び込む主要手段は検索エンジンであり、上位表示のためのSEO対策が必須となります。オウンドメディアで集客を狙っていくキーワード選定を行います。

SEO対策とは?初心者向けにわかりやすく解説

5.コンテンツの検討

集客キーワードに沿って、オウンドメディアで公開していく記事やコンテンツを検討します。立ち上げ直後に公開するコンテンツはもちろん、その後継続にコンテンツを追加していくためにも、公開前に20記事程度のコンテンツは検討しておくべきでしょう。

コンテンツを中心に考える「コンテンツマーケティング」については、以下の記事を参照ください。

顧客視点で価値を届ける「コンテンツマーケティング」とは?

6.オウンドメディアの構築

いよいよオウンドメディアのサイトを構築します。オウンドメディアは継続的にコンテンツを追加していく性質があるため、HTMLのコード組み上げではなく、手軽にメンテナンスが可能なCMS(Contents Management System)を採用することが一般的です。代表的なCMSツールはWordpressで、有料/無料で配布されている「テーマ」を当てることでサイトを構築できます。

7.アクセス解析ツールの導入

オウンドメディアのアクセス解析を行うために、アクセス解析ツールを導入します。サイト公開段階では、まずは無料でも利用できるアクセス解析ツールである「Google Analytics」と「Google Search Console」を導入するケースが多いです。

8.MAツールの導入

マーケティングオートメーションを行う場合、オウンドメディアとMAツールを連携させるための設定を行います。トラッキング用のコードをオウンドメディアに埋め込むことで、ユーザー行動の分析やコンテンツの自動提供が可能になります。

【主要機能10選】マーケティングオートメーションツール(MAツール)とは?BtoBにおける検討ポイント

9.記事作成

オウンドメディア上にコンテンツを作成します。集客観点では自社目線の製品紹介やアピールコンテンツではなく、ユーザー目線で役に立つ情報や解説記事を意識したコンテンツが重要です。ユーザーと自社を結びつけるコンテンツは主要記事とは別に動線を検討します。

10.コンテンツの周知・拡散

公開したコンテンツをユーザーに届けるためのアクションを行います。例えば企業のSNSで記事をシェアしたり、自社のメルマガ会員にメールで紹介するなどが考えられます。そこでアクセス数を集めることができれば、オウンドメディア全体の評価が高まり、検索エンジンからの集客を見込むSEO対策にも有利に働きます。

オウンドメディアを運営する際の注意点

オウンドメディアに取り組む運営企業が最初に直面するハードルは「継続的な更新」となります。オウンドメディアは根気強く運営を続けていくことで初めて成果が出る施策のため、以下のポイントを留意した上で、長期的な視点で取り組む必要があります。

初期段階は記事数が重要

オウンドメディアはコンテンツが蓄積することでサイト全体の質が高まり、SEOにも有利に働きます。記事数が多ければそれだけサイト内での啓蒙活動も可能になりますが、記事数が少ないオウンドメディアではサイト内の回遊や集客効果はあまり見込めません。

オウンドメディアの初期段階では、まずは記事数を優先して取り組む必要があります。例えば100点満点の記事を月1本公開するよりも、70点の記事を毎週追加したほうが効果が見込めます。とはいえ低品質な記事ではオウンドメディアのイメージが悪くなるため、その点は注意が必要です。

短期間では効果が出にくい

前述の通り、オウンドメディアが効果を発揮するには一定以上の記事数が必要になります。オウンドメディアに必要な記事数については明確な基準は存在しませんが、多くのケースでは50〜100記事が蓄積された頃に効果が出始めるため、目安とされるケースが多くなっています。

とはいえ、大量の記事をすべて内製で準備することが非常に困難です。そのため集客用の一般的な記事の原稿作成は外部のライターに外注して、その分野に深い知見が必要な記事原稿は内製で準備するという形で運営しているメディアも少なくありません。

既存記事のリライト

コンテンツ数が100を超えたあたりのオウンドメディアは、新規記事の追加ではなく既存記事の改善の優先度が高くなります。初期段階に公開した記事は重要度は高い内容/キーワードであるケースが多いですが、記事内の情報が不足していたり、オウンドメディアの運用に慣れてから公開した記事と比較して品質が低いことも珍しくありません。

またアクセス解析によって、サイト内で需要の高いコンテンツや、より順位を伸ばしたいコンテンツが明確に判断できるようになります。その分析結果を踏まえて、オウンドメディアの効果を最大化するための改善を行っていきます。

リライトを行う際は、現時点で効果の出ているキーワードや内容を削除してしまわないように慎重に内容を検討します。

まとめ

インターネットの普及により、見込み顧客は企業の営業担当社に会う前に多くの比較検討を行っています。ユーザーは情報収集段階で興味を持った企業にのみ問い合わせなどの具体的なアクションを取るため、サービスを提供する企業側が知らないところで「1回戦」が行われていることになります。

BtoBマーケティングでは長期化する購買プロセスに対応するために、見込み顧客との継続的な関係性を構築し、予算取得やサービス決定のタイミングを逃さないアプローチが非常に重要です。その観点では、オウンドメディアはユーザーに対する継続的な情報発信手段となり、マーケティングオートメーションと組み合わせることで見込み顧客に対する啓蒙活動ツールにもなるため、これからのデジタルマーケティング活用において重要な施策であると言えます。

バディマーケティング株式会社では、オウンドメディアを活用したBtoBデジタルマーケティングのコンサルティングや施策支援を行っております。Web集客や見込み顧客獲得の課題やお悩みがございましたら、お気軽に当社までご相談ください。

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